医学的な脳の中の現実の話し。ある男が戦争で手りゅう弾を右手に持ったまま暴発させてしまったとかで、右腕の全部を失ってしまった。腕の傷はもう何年も前に治っているのに、その男が、何と、無い右腕の手の親指が自分の手のひらに刺さるように曲がって締め付けるので痛くて耐えられない。と治療にやって来たのでした。無い手が痛むなどと、はじめはオカルトめいていて怪しい話しに感じたが、私たちの皮膚感覚は脳の中に、まるで地図のように全身の位置が統括されていて、各部所からの刺激信号が脳に送られて、全てを感じ取る仕組みになっているので、失った手足が痛む例は、実際にいくらでも有るらしい。
続きを読む 北国の羊飼いの牧場を訪ね投稿者: 阿
コラム…兼社員募集
社員募集 履歴書を添えてお手紙下さい。
勤務地:山梨、給与等委細面談、仕事内容はパソコン伝票打ち、商品梱包発送、倉庫整理等の体力仕事、電話で受注親切応対などから始まって、将来は海外の牧場主や職人との通信対話(英語)、加工発注や羊毛等買い付けがしたい人。インド、N.Z.等へ研修あり、美術工作趣味の有る方(アナンダは手で作る人に奉仕するのが仕事なので、自分が手で作る仕事はありません)
腰布一枚
手作りの品が安く買える国という事は、その手作りする人達の生活費が安く暮らせる国と言う意味でしょう。その環境ならば、その人の手作りの物が安くできるのは単純な道理です。インドでは自分の庭に5本の椰子の木が生えていれば暮らしていける。と、かなり大袈裟ですが言われます。椰子の実が一年中実って、ポトリと(実際は重いのでドテッと)落ちるのを待って、市場に持って行って売れば良いのだそうです。冬も寒くないので(地方にも依りますが)、食物蓄積への圧力が日本人の感覚に比べれば非常に低く、つまり、蓄えておかなくても日本のよう厳しい冬は来ないのです。衣類も、ほとんど腰布一枚で良い地方が多いし、家も日干しレンガで椰子の葉ぶきで、とても快適です。
続きを読む 腰布一枚キウリと爆弾 紡ぎ車の譲れない領域

秋になって急に寒くなってきたので、朝の出がけに今日はセーターを着て行こうか行くまいかというと、そんな事は自分で判断してちょうだいと言われた。 日常の大抵の事は判断と言ってもこの程度のことで何となくやっていけている。キウリを食べても、キウリがどんな形で切り口が三角なのか四角なのかもろくに見ていない。単にキウリという記号を食べているような気もする。
続きを読む キウリと爆弾 紡ぎ車の譲れない領域遠い海の記憶
子供のころ、家が海の近くにあったので、生きの良いイワシをいつも食べて育った。カツオ船がイワシを撒き餌にするので、よく沖合いに生けすが浮いてカモメがその辺りに群れていた。近所の漁師がたまに、海からの帰りに「生きてるよ」などと言ってイワシを置いて行ってくれるのを見ていた。先日、フランス料理店で、ふとイワシの文字が目に入り注文した。出て来たイワシがオイルと香辛料で料理されているので、一瞬 不意をつかれたようにじっと見つめてしまった。せっかくのイワシなのだからこんなに加工しなくても・・・。と「感じた」からだが、これは私のイワシの記憶とそれがあまりにも違っていたということで、フランス料理の味がどうという話しではない。フランス人にとっては、イワシはこれが当たり前なのだ。私の遠い海辺の記憶がイワシを前にして、その時、とてもはっきりした「感じ」を反射して来た。
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