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ウールの顔

世界中から集めた色々なウールの顔を紹介します。しかし、これは、お見合い写真で人物を紹介するようなもので、仲人の好みなどが入ってあまり客観的ではありません。言葉が見つからなくて、適当な説明も含みますので。結局は、みなさんが、ただ、直感で選んで、紡いだり織ったり、編んだりして、つき合って見ないと本当の良さはわかりません。まあ、これが多少でも、いろいろなウールとの出会いのきっかけにでもなれば・・・(2010年糸ばたかいぎカタログより)

細さ、色艶、ぬめり

メリノ

細い毛で有名な羊、スペイン原産。18世紀スペイン王朝はこの羊種を国外に持ち出したものは死刑とし、独占的な利益を保ったという。今は世界中で飼われて被服産業に奉仕している。これは、一部オーストラリアから、主にNZからのもの。

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スペインメリノ

オーストラリアのメリノと違って、スペインメリノはコシがあり、クリンプが多く深い、細い毛なのに、腰、ふくらみ、ばねがある。細く紡いで服地に向く。やや生成。フェルトに大人気。

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実用、使い易さ

ロムニー

ロムニーという羊種はロムニーマーシュがフルネーム。毛の太さは32~36μと巾広く、用途も衣類から敷物まで広い。紡ぎ易く、毛の性質に幅広い変化があって、手紡ぎに合っていて売り上げ1位。
ニュージーランドで生産量が最も多い種。英国のケント州の羊種ケントをニュージーランドに移植したもの。

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ポルワス

オーストラリアで1880年、デニス兄弟によって固定種にされた。メリノ3/4とリンカーン1/4の交配。メリノの毛より太く、コリデールより細い(24~26μ)。みごとな輝きがある。マフラーやセーターなど柔らかくファインな感じの好きな方で、メリノよりコシの強さが欲しい人には最適。

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コリデール

今や世界牧羊業界で最も重要な羊とされ、毛は素直で紡ぎ易く、ロムニーより細く(27~30μ)、柔らか。クリンプは少ないので英国羊毛のようなバルキーな張りはないが、肌に柔かく人気が高い。
今から120年程前に、ニュージーランドでイングリッシュロングウールとメリノ種とを交配して、お互いの欠点を補いあう長所が取り込まれた羊ができたのだそうです。

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ペレンデール

ニュージーランドでペレンさんという人が作った羊種(本当の話です)。ロムニーとチェビオットの交配。ロムニーよりも細く(30~34μ)腰があって、弾力性に富んでいるのが特徴。この羊は毛がはずむようなバネの力に富むだけでなく、羊自身もよくジャンプして、牡羊はその季節には高い柵も飛び越えてしまい、よその牧場で、雑種を作ってしまうそうです。

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白さ、光沢

フォークランド

アルゼンチンの南東の海に浮かぶ島で、気候は真冬でも平均3度にしかならず夏も9度か10度にしかならない、一年中冬で一年中強風が吹いている、と言う島だそうで、産業は牧羊業しかない。
英国領なので羊毛は全部英国に行く。羊種はコリデールだが環境のせいで、特に繊維の白さは有名。繊維は24~30μ、柔軟性に富んで、毛足も、柔らかさも適度で紡ぎ易い。よく知られている高級品。フォークランド島から海峡を挟んでプンタ港から出荷されるプンタと呼ばれる毛はフォークランドと殆ど同じで。紡績業界では同等に扱われる。

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ダニーデン

イングリッシュラスターをN.Z. に移して飼育、南島のダニーデン地方の美しい風土から、白く輝きの強い毛が取れてこの名で流通するようになった。この毛はモヘアを想わせる輝きと長毛が特徴。モヘアが高値になるとこれも高値になる(代用に混ぜられる)。染めて発色が良く、レインボー染めによく用いられる。太番手だが意外としなやか。セーターにもお勧め。フェルトに使うと大きなクリンプの表面の味と張りがきいて面白い。

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むっちり英国ダウン種

チェビオット

手織りをする人は、この名を聞いたことがあるかも知れない。繊維にバネと腰があって、シャリ感がある。ジャコブや他のダウン種と同様の言葉で表現することになってしまうが、ジャコブよりおとなしくてしっとりした感じがある。

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英国ダウン古典

ジャコブ

旧約聖書の創世記に出てくる、ヤコブが自分のものにした、あのまだらの羊がそうに違いないと言われるほど古くから居る羊。クリンプは細かくて深く、バネがあり織物にしても、セーターにしても、軽くてふくらみのあるものができる。初めて紡いでモコモコとした感じに出来るセーターもとても良い。濃茶の色は深くて古典的、ミックスは色が美しく、白からベージュ、グレー、茶、黒など5段階ぐらいに自分で分けて別々に紡ぐと感じの良い古典的な色の階調が得られる。ミックスのロールは全部混ざってグレーっぽくになってしまうが、これも良い。

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シェットランド

シェットランド島と近辺の岩だらけの島々の厳しい環境に棲息する羊なので特別な性質、太さの割に柔軟な毛で有名。シェットランドの羊を内地に移して飼うと毛が太くなってしまうのだそうです。58~60 カウンツ (28~34 μ)、長さ75~100mm、シェットランド島は面積限度ほぼいっぱいの頭数の羊を飼っていて、たくさんのウール家内工業があるので、輸出量には限度が有る。有名なアランセーターの本物はこのシェットランドを使うが、世界中に出回っているシェットランドウール使用と表示された品物の多くが代用ウールなのだそうです。良心的なメーカーはシェットランディッシュと表示している。

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シルキーぬめり

ゴットランド

色の美しさ、しなやかさ、ぬめり、感触、どれも素晴らしく、大人気。スウェーデンのゴットランド島から羊がニュージーランドの牧場で飼われたもの。

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素朴な煌めき

スカンジナビア

繊維の感じが自分の好みにピンと来る人は、かなり居ると思う。色は白とスチールグレー。ニュージーランドの羊のグレーは茶系のグレーだが、これは青みがかったグレー。スカードをそのまま指でほぐして紡ぐことを一度お勧めです。ぶつぶつの糸のグレーの変化に富んだ糸が得られます。

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ちょっと個性的

ハードウイック

これは太く粗い繊維なのに柔らかい。有名な羊なので、知っている人も多い。紡ぐとき太いケンプがボロボロ落ちる。繊維にしっかり空気を含んでいるケンプのせいで厚みとあたたか味がでる。線が太い出来上がりになる。英国の海岸地方では、この羊のグリージーでフィッシャーマンセーターを編むのだそうです。この毛は有名ですが、芸術家向きと書いておきます。

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※写真はフォークランド、ダニーデン、チェビオットはスカード。スペインメリノ、スカンジナビアはトップ。それ以外は洗い済みフリースです。