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羊毛の種類と毛の状態

犬やネコに種類があるように、羊毛にもたくさんの種類があります。地名からとった名前が多いようですが、中には品種改良した人の名前からとったものなどもあります。刈り取られた羊毛はプロの手で品種を分類され、専門の工場で、洗ったりゴミを取り除いたり、段階を追って加工が施されていきます。アナンダでは色々な用途に合うよう、同じ種類の羊でもいくつか異なる状態で在庫しています。

フリース fleece

羊から毛を刈り取ると、羊の毛は人の頭髪のように一本一本バラバラにならず、一枚のコートを脱がせたようになる。この状態をフリースと言う。

ステイプル staple

羊毛の房、平行に繊維が密生して伸び、クリンプも平行にそろって房状になっている。フリースを自分で洗う時はこれを崩さないように。

グリージー greasy

羊から毛を刈り取ったままの状態で、羊が分泌した脂(ラノリンオイル)や汚れが残っている。略洗いをしたグリージーは扱いやすく、脂分を残して仕上げたいアウトドア用のセーターなどには最適。レインボー染めに使用した場合も表情豊かに染め上がる。

洗い済みフリース

アナンダで洗ったグリージーの商品名。上の写真のロムニーを液体モノゲンで洗った。下のスカードより脂や汚れが多いが、房が残っている。

スカード scoured

グリージーを洗った毛。工業的に脂分何%と指定されていて、自動的に洗い上げる長い機械を通ってくるため、手洗いしたものと比べると多少フェルト化している場合があり、房はほとんど残らない。また、多少草の種子や糞などが混入している。 植物染色にはこれを使用し、染め上がってからカードがけをするとムラもほとんど気にならなくなる。

ウェッブ web

蜘蛛の巣の意。スカードを大きなカード機にかけると、ふわふわのわた菓子のようになった毛が、薄く幅広く出てくる。その状態をウェッブという。

ロール roll

スカードをカード機にかけて、ふわふわのわた菓子のようにしたもの(ウェッブ)を大きなドラムに巻き取ってはずすと、約2m四方の大きなシート状になる。人形作りの人、大きなフェルトを作る人、贅沢な布団を作る人などに最適。見本帳の中で「スカード」とあるものは、全てロール状に加工できる。アナンダの大きなカード機で加工するので、お届けに多少時間がかかる場合がある。

カーデッドウール carded wool

スカードをカード機にかけて出てきたウェッブを、巾約20cmの帯状に巻き取ったもの。ロールを細長くしたような形状。アナンダのカード機で加工している。

スライバー sliver

スカードをカード機にかけて出てきたウェッブを、機械で細長く引いて巻き取った、ロープのような状態。もちろんこのまま紡げ、染めるのにもよい。染めたらよく広げて干すとフェルト化しない。

トップ top

スライバーをコーミング機にかけて、つまり櫛をかけて全てのゴミを除いたもの。外見はスライバーと同じロープ状。きれいな糸を紡ぎたい人に最適。メリノなどの細い毛は特に牧場にいるうちからゴミを取り込んでいて、洗っても頑固に取れないが、トップなら完璧。

※フリース、ステイプル、グリージー、洗い済みフリース、スカード、スライバー、トップの写真はいずれもロムニーです。