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「サンキュウとソーリーは仲間の間では言わない方が良いよ」​

​昔、留学したインドの大学で、「サンキュー」と「アイムソーリー」を日本人は言いすぎる。と友人たちが教えてくれた。それは人の距離を感じさせるので、仲間の会話では使わない方が良いとのことだった。言われて見ると、その言葉は仲間の間なら上下、距離を表すかも知れない。日本人の多くは信じないだろうが、日本社会のマナーは世界的に見ても人の上下を強く意識した「行儀」なのだ。最も近い肉親にさえ、父上とか母上などと「上下」付きの語が存在して居るなど笑われてしまいそうだ。日本語のそれは誰が作ったのだろう。人々の平安が上下で保たれて来た歴史が有るのだろう。

インドの大学では、先生を呼ぶのに愛称で呼んでいた。ニュージーランドでもニックネームで互いに呼んでいるのを聞いた。日本では必ず「先生」をつけて呼ぶ。アナンダでは、かなり昔に、お客に対して「いらっしゃいませ」と言うのをやめて「こんにちわ」にした。上下がない方が良い。また、講習でも、社員が「先生」と呼ばれることを禁じた。つまり上から目線での講習態度はいけないこととした。さて、今日のコラムの主題はこの、上下無しの群れ(会社)つまり、仲間的、家族的仕事集団、個人の心はそのままで自由な議論ができる群にしたいと願うが・・・。

アナンダをそういう群(集団)にしなければ、やって居る業務の狙いと矛盾する。良い悪いの、評価社会から脱出して「自由な自分の手作り」が狙いなのだから。このコラムでも、これが正しいのだと言ってはおかしくなる? 黙って各個人が自由に自分で感じ取って、そこで発言してアナンダという群を作っていく・・・。群をなすことで大いに生存を有利にして居る生物はたくさん居るが、ヒトほどに成功して居る種は他に居ない・・と言うのは、もしかして誤りなのか?というのは、ヒトの群は何故か地球上のあちこちで定期的に大量殺戮を実行して居る。つまり戦争をしている。人口を減らす策なのか?他にネズミ科のレミングという動物は増殖して大群になると湖に入って大量死するそうだ。群を成す能力も群が大きくなりすぎると、不可解な大量自殺の判断に迷いこむのではないか?。

先の大戦で、宮崎県の延岡の街を、墜落する飛行機から脱出した若い米兵が日本兵に街を引かれていくを見て居た町民達の多くが「可哀想にね、あの子にも親や兄弟も居るだろうに」と、ひそひそと言う同情のつぶやきだったそうだ。その同じ町民は、町内会で竹槍で戦闘訓練(これは大きな群に属する判断)をして居た。大きな群の正しい価値基準、例えば芸術、工芸、名作、云々などから、はっきり個人は離れて、日々の自分の暮らしに足を戻し、身近な暮らしの物を作って使う、と言うのがアナンダで手で紡ぐ糸に良いの悪いのはない。評価社会から、自己の感性は解放される!

社会に出来た基準「良い悪い」で生きると大変だ。自分の現感覚、喜び感覚でものを作る。この21世紀に何故に手で糸をつむぐのか?それは紡いでみればすぐわかるが、その糸で編んだり織ったりすると、出来たものに「表情」が有り愛着が生まれ自己の存在感が生れる。産業革命以後の評価基準、常識からは別の空間が生じる。実際に体感してみれば説明は不要。最初の糸で織った布は、当然、別格に魅力的なのは想像できるだろう。

機械のように揃った糸で織られた布が悪いとか、評価するつもりはない。まるで次元の異なる物なのだ。あまり大声で手作り手つむぎと言いたくないのはこの国に生まれ育った人が、また比較評価の癖が出て「機械織りより手つむぎ手織りの方が良いのだ」などと言い出すといけないから。

昔、ペルシャの詩人が「鳥籠から出られて、自由になった」と喜びの詩を詠った。多分、彼は世間の善し悪し評価の籠から出てから自由に空を飛ぶ鳥になったのだ。

日本は上下の評価社会(他の国に住んだことのある人でないと、そこで生まれ育った人にはあまりにも当たり前の空気なので意識さえできない。そこからの脱出は簡単ではない。)日本にはたくさん紡いで居ながら評価に縛られて居る人が大勢いて、そのような本もたくさん出て居る。講習会の参加者は正しい糸の織りかたを学びに来たとしても、自分が作りたいものを決めてもらい、材料、道具を選び作り始める。だからアナンダには正しい「先生」は居ない。アナンダのスタッフは客が糸を紡ぐお手伝いする「助手」なのだ。紡ぎ材料(羊毛、シルク、綿、麻)染め材料(藍染など多種植物染料、酸性染料)フェルト、などの素材販売。そして、紡いだ糸は出来るだけ早くリジッドバタで織る。すると評価の鳥籠から出られる。下手な糸ほど見事な布になることは珍しくない。単に個人で紡ぎを楽しんで居るあなたも、アナンダ出張講習を呼んで共同ワークショップをしてみませんか?一度アナンダとやると、その名簿があなたの独立自営のプラス名簿になり、活動は広がって行きます。永続的活動をアナンダは喜んでお手伝いします。保育園、幼稚園、学校などの父兄と教師、一緒にワークショップ、続いてます。ご希望があれば、まずはお電話でお願いします。(阿)