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レミングの集団自殺とヒトの集団他殺(戦争)

以前から、この自然界での最も不思議な現象。変な動物と言われている。スカンジナビア半島の山地に生息するレミング(たびネズミ)のこと。何千、何万匹という大きな群れが、ぞろぞろと並んで、崖から湖水に飛び込んで、集団自殺をするらしい。水面に何キロも死体が浮かび、死臭が漂って、また、3~4年後には同様の集団自殺が繰り返されるのだそうだ。何が理由なのか、わからない。その動物種の水辺での繁栄を狙い、水に強い個体を自然が選別して残しているのでもなさそうだ。飛び込んだ全部の個体が死ぬらしい。ただ大きな群れになると個体は従順になって個体の自立性を失い周囲のみんなと同じ行動をする性格を持っている動物なのだ。

さて、ふと気付いて見ると定期的に大量殺戮(戦争)を始める不可解な動物は、レミングより人間なのではないか?

今はロシアのプーチンが始めているが、実に、その爆撃の訳がわからない。

人は、昔から、あちこちで常に戦争をして、大量殺害を繰り返している。多分、その周期は大雑把に80年から100年ごとに、つまり先の戦争の悲惨な体験を忘れる頃に、また始めるのではないか?

人間、すなわちヒトという動物は、いつも群れ同志で戦っている。昔は人を殺すための鋭利な長い刃物(刀)を腰に差して、それが格好良く見えて、今では、北朝鮮やロシアのように、原爆、長距離ミサイルなどで周囲を脅して格好良く見せている。

確かに、人の歴史は「不幸」から始まって、それとの戦いで「幸福」を築いて来た。アフリカに住む猿の中から、ある時、体毛が生えてこない裸の猿が生まれた。体毛がないと、猿として生きていくのに大変に苦労する。移動する度に、草木の棘などで皮膚が傷つき血が出た。虫や小動物からも身を守らなければ生きていけない。この裸という「不幸」を背負って生まれた猿は、あまりにも生存が困難なので、体毛の代用になる何かを必死になって工夫し探し作り始めた。柔らかい枯れ草を束ねて体に巻き付けたり、獣の皮を剥いで巻くなど、皮膚の保護を考え工夫し始めた。生存に関わるので、誰もが、真剣に取り組みこの技術は発展した。紐から糸、それを織ったり編んだりして布ができるようになると、皮膚の保護から体の保温まで自由に、しかも暑ければ脱げるし、寒ければ厚手を着て保温。実に裸の猿、ヒト種の生存域は見事に広がっていった。体毛の欠落という「不幸」は実際、結果としてその生存域を見事に広げ「幸福」となった。古代人が聞いたら笑うだろうが、今では、ロケットで月や他の星まで行こうとしている。生存域を広げる欲望が、あまりの苦労から発したので、もう止まらなくなっているのだ。

ヒトは、古代から繰り返し「戦争」という不可解な群れ行動を起こし、人同士で大量に殺し合っている。ちょっと調べただけで、原爆1発で広島14万人、長崎で7万人死亡。さらに、勝手にビルマを戦場に決めて派遣された日本兵だけで16万7千人。ビルマ人の犠牲は何人かわからない。今もウクライナで街を大規模に破壊し、人を大量に殺している。ロシアのプーチンが頑張って、一体何をしているのか、わかりますかね。誰か利益を得ているのだろうか?

戦争は群れを成す動物、ヒトの不可解な行動の一つなので、戦争発生の仕組みと、それを避ける方法の研究がこれからの課題ではないか。人類が進化するとしたら、この意識出来ない領域の仕組みを何らかの方法で知りえるようになる事だろう。戦争の起こるメカニズム、なぜ戦争が起こるのか解らないのだから当然、避ける方法も解っていない。あれ程の大きな被害が人間自体に降り掛かるものなのに、台風などよりも解っていない。(阿)

糸ばたかいぎ2022年秋冬号掲載